XIII 13の数と「復活」神話

最近耳にした話。日本のアニメが、イスラム圏の国で人気だとか。宗教(キリスト教)の解釈のいい加減さが受けているらしい。(一般の)日本人には、一神教の神様の厳格さは、永遠の謎かも。
…ということで最終回。

エピローグを除くこの小説は、13日間の出来事を綴っているのが第一の理由。当時のユリウス歴で、1865年7月8日から始まるこの物語(7月の初め、方図もなく暑い時分の夕方近く、一人の青年が…米川訳)10日午後7時過ぎ犯行におよび、13日目の20日預言者イリヤの日)に、自首する。自首の相手は、ポルフィーリィ・ペトローヴィチではなく、副署長のイリヤ・ペトロヴィチ。
…この日程は、現実の日付に則して本文を読むのも面白いかもしれない(気が向いたら、タイムテーブルを7月8日からUPするかも^^;)

  • エピローグは後日譚

要約すると、マグダラのマリアとキリストの復活のお話。
囚人たちのなかで一人浮くインテリのラスコーリニコフ。誰からも慕われたソーニャへの態度がなっちょらん!ということらしい。というより、ロシアの民衆のなかにあって、現実から遊離した抽象的な思弁に重きを置いているから嫌われたってことかな?…ソーニャへの愛を自覚した時点で、他の囚人たちの心情をも汲み取れるようになり、みんなに受け入れられるようになった。
例の「非凡人の理論」は、まだ彼のなかに生きていて、犯行そのものを改悛したわけではないラスコーリニコフの「復活」とは?…ロシアの「生きた現実」に根ざした彼の「理論」の新たな発展の物語であったかもしれない。つまり民衆と密着した新しい「革命家」の誕生の物語であったのかもしれないと江川さんの解釈。
…わたしとしては、革命家もしくは改革者は、その理想を持続し続けて欲しい。「権力を手にしたその瞬間に、腐敗が始まる」なんて言われないようにしていただきたい★特に民衆を「衆愚」と見なして欺いたり、対立する思想を強権で排除するのは、許せない!!


「謎とき罪と罰」は「ウラ読みドストエフスキー」とダブっているところもチラホラで、ちょっとびっくり。きっと斜め読みして読んだつもりでいたのかもしれない。だいたい解説書は読まない方だし。突き詰め出したら、小林秀雄のものも気になってくるもんね。いろんな専門家の研究書を読むのも、理解を深める良い方法だと思うけれど、頭でっかちになって本来の物語を楽しめなくなるのは、本末転倒のような気がしてきた。
聖書、ギリシャ神話、ロシアの民話etc.を参照しての解説も新鮮だったけれど、なんやかんや屁理屈をこね回すより、本編を読んで楽しむのが一番。
だって面白いんだもん♪