草枕 4

那美さん(志保田の嬢様)との緊張した会話。
聡明でコケティッシュな那美さんのモデルは、前田案山子の次女卓子なんだそうな。五高時代の漱石は、小天温泉の案山子の別邸に、友人と滞在したことがある。そんなこんなで、流産後の妊娠、慣れない熊本の生活も手伝って、鏡子夫人の入水騒動が起きたらしい…と新聞の土曜版に載っていた。
二人の男に求婚されて淵川に身投げした、長良の乙女伝説。好きな人がいたのに、意に染まぬ結婚をして帰ってきた那美さん。絶望したオフェリア。鏡子夫人。等々で、水に浮かぶ美女のイメージが出来上がったという、もっぱらの通説。
芯が強くて凛とした美女が、漱石の好みだったそうな(藤尾や美禰子もそうだよね)現実でもこの小説でも、それ以上は進展しなかったようだけれど、鏡子夫人がやきもきしたのは、わかるな〜(^_^;)

  • 那美さんは身投げなんかしない

'...In the first place the maid of Nagara gained nothing by throwing herself in the Fuchi river, did she?'
'No that's true. Well, what would you have done in her position?'
'What would I have done? I shoud have thought that was quite simple. I would merely have taken both Sasado and Sasabe as lovers.'