メモ X 兄弟愛の表裏

ブラーチヤ(単数はブラート):兄弟。修道僧への呼びかけ(英語でもブラザーって言うよね)。同志。仲間。男性への親しみのこもった呼びかけに使われる。

  • ドミトリー

・アリョーシャに対して
「おれはさ、アリョーシャ、おまえをぐいと抱き寄せて、つぶれるくらいこの胸に押しつけてやりたいんだ。だって世界中で…おれが本当に…ほ・ん・と・う・に、だぞ…(いいか!わかるな!)愛しているのは、おまえひとりなんだものな!」
・イワンに対して
たいそうな敬意を払っていて、彼の話になると、口調までが一種独特な、感にたえぬようなものになった。

  • イワン

・ドミトリーに対して(カインと同じ科白)
「だけどぼくになんの関わりがあるんだい?ぼくがドミトリー兄貴の番人だとでもいうのかい?」…スメちゃんも「どうして私がドミトリーさまのことを存じておりましょう。そりゃ、あの方の番人とでもいうのなら、話は別でございますが」
・アリョーシャには
「桜んぼのジャムはどうだい?覚えているかな、おまえ、小さい時分、桜んぼのジャムが大好きだったじゃないか」「ぼくは何でも覚えているよ、アリョーシャ、おまえが十一の年まではね。ぼくは十五だった。十五と十一、この歳の差の兄弟というのは、どうしても友達になれないものなんだな。ぼくはおまえが好きだったかどうかも覚えていないくらいさ」

  • アリョーシャ

・イワンに
「兄さんもやはり、他の二十三歳の青年とそっくり同じような青年だってことなんです。同じように若くて、若々しくって、元気溌剌とした男の子、そう、言ってみれば、まだ嘴の黄色い男の子だってことなんです!どうです、そんなに気を悪くはしないでしょう?」
・グルーシェンカに
「誠実な姉さん」を見出す。彼女は感激して「この人はあたしのことを姉さんと呼んでくれたのよ、あたし、もう生涯このことを忘れないわ」

  • ゾシマ長老の説教

・自殺者について(ユダも含めて)
「これより不幸な者は他にあり得まい。これらの人々について神に祈るのは罪なことだと言われ、教会も表向きは彼らを受け入れることを拒んでいるかのようであるが、私は心の奥底では、これらの人々についても神に祈ってもかまわぬのではないかと考えている。愛ゆえにキリストが立腹されることもなかろうではないか。私はこれまでの生涯、心の内でかかる人たちのために祈ってきたし、今も日々祈りを欠かさない」…十三年後「ユダの接吻」を受けるであろうアリョーシャは、ユダをも赦す心の大きさを持っているに違いない。
・兄弟愛
民衆を流血へと導くのは、残酷なるが故に正しくない。救いは民衆の信仰と謙虚さから来る。…恨みや妬みの奴隷根性を持たない自由な、人間としての品位ある関係を築けば、真の平和が訪れる。