暗黒の森(ダンテの神曲から)

beruthiel2007-09-05

画像は「神曲」の挿絵集ね→
うちの古々岩波(パラフィン紙が付いてるヤツ)を取り出せないので
密林から借りてきました。なんか、幽鬼の呼び声が聞こえているような…(O.O;)(o。o;)
なぜダンテかというと、人間は様々な虚偽によって本来の自己を見出せなくなり、その虚偽さえ認識できなくなってる。「暗黒の森」を抜けて、地獄界浄罪界を経巡り、人間の苦しみを受け、それを昇華しなければ、真の自己に目ざめることは出来ないというお話を書いた人(そうだったのか!^^;;)
「新たなる出発」によれば、「『カラマーゾフの兄弟』の真のテーマは、人間の内なる真の自我の覚醒である」のだそうな。
つまり、自意識のために本当の自分が見えなくなった近代人は、極限状態を経て自己を発見する。
「<カラマーゾフ的なるもの>が、混沌たる家に自らに内包する、深い欺瞞性との戦いを通して、<カラマーゾフ的なもの>の真の魂である、論理以前の、直接的、内発的生、内発的生にいかに還帰してゆくかというところにある」…この「カラマーゾフ的」とは、「極度のモラルの欠如、無節操、自堕落で、俗物な」という意味。


イリューシャの件は蛇足だと思ってたけど、大事なエピソードだったのね。作者の死によって書かれなかった続編の中心となるのがアリョーシャと(十三年後は成年に達する)少年たちになるはずだったとの見方が優勢。それ以上に、混沌とした自己欺瞞を脱却するには、ゾシマ長老のいう「謙抑の精神」とアリョーシャの「少年期のよき思い出のすすめ」が有効ということらしい。
「わたしは他人のの裁判官になるのは嫌です。また他人を非難するのも好まないから、どんなことがあっても、人を咎めません(第一部、第一編の1)」というアリョーシャの言葉がキーワード。
以下も揃ったので、全クリする予定

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)