ラスコーリニコフの13日間:二日目

ドゥーニャ(のつもり)

<7月9日>
母の手紙。並木道の少女.馬殺しの夢。リザヴェータと商人の会話を聞く。

母の手紙で、妹のドゥーニャの自己犠牲的婚約を知る…ルージンの合法的妾になるのは、ソーニャと同類じゃないか!これを阻止するには、計画実行しかない!!
痩せ馬殺しのミコールカに自分の分身を見て取ったラスコーリニコフ。様々な偉業を成し遂げる英雄も突き詰めていけば、衆人を煽動して老いぼれ馬を撲殺するミコールカと変わらない存在なのか!?皮肉にも、冤罪で逮捕され自白するミコールカと同じ名前。
夢を見たことにより、妄想の醜悪さに恐れをなすが、偶然にもリザヴェータが明日の晩不在で、アリョーナ婆さんが一人きりになることを知る。


江川さんは、リザヴェータを「聖痴愚」として解釈している。ロシアでは伝統的に狂人や不具者は苦行者として、皇帝でも粗末に扱えない聖人とする思想があったそうな(…「ボリス・ゴドノフ」に出てくる「愚者」は、ボリスに「お前は皇子を殺して帝位を奪った」と言っても、罰せられなかった)
リザヴェータはすぐに殺されて出番はほとんどないけれど、ソーニャの影として全編に影響をおよぼすのも、こういった理由なのかも。