不運な訪問客

  • 18: Hapless Visitors

謹厳実直なワシリー・ステパーノヴィチが自動筆記背広に出くわすために、タクシーを飛ばしていたころ、キエフで訃報を受け取ったベルリオーズの伯父が、モスクワに到着した。
電報の文面
'Have just been run over by tram-car at Patriarch's Ponds fineral Friday three pm come. Berlioz.'
「私ハタッタ今パトリアルシェデ 電車ニ轢カレタ 葬儀ハ金曜ノ午後三時 オイデ乞ウ ベルリオーズ
死人が何故電報を?と不審に思ったが、モスクワのアパートを受け継ぐチャンスと、上京。
・50号室に出迎えたのは、コロビョフ。
電報を送ったのは、ベゲモート。ベゲモートとアザゼッロに脅され、這々の体で脱出。
・次の訪問者はヴァリエテのビュッフェ主任
観客の何人かが支払った10ルーブル札が紙切れになったのを訴えに来た。首に紫色の傷のある破廉恥な姿のメイドに度肝を抜き、九ヶ月後に肝臓癌で死ぬと予言され、黒猫に禿頭をひっかかれ、ワインでズボンはびちょびちょ…。何故か紙切れはルーブル札に戻っていた。
・ビュッフェ主任は肝臓の名医に泣きつく
クジミン教授は友人の神経科医ブレ教授に紹介状を書く。
ビュッフェ主任がおいていった30ルーブルは黒い仔猫に変わり、中庭では肌着姿のご婦人が突っ走り、部屋に舞い込んだ雀は流し目でフォックストロットを踊り出す。
不安を感じた教授は、瀉血用のヒルを取り寄せる。届けに来た看護婦が凄まじい。口は歪んで耳まで裂け、牙がにゅっと一本むきだし、低音の男の声。鳥の前足で、再度変身した元ルーブル札の紙切れをかき寄せ、空中に溶け去った。
とうとうクジミン教授は、ブレ教授に往診を依頼する。
…以上第一部終了

ヒルで鬱血などを吸い取って不調を緩和する、民間療法らしい。近年科学的根拠が見いだされ、注目を浴びているそうな↓(;^_^A
http://sasapanda.net/archives/200409/15_0018.cgi
この小説が書かれたころは、迷信とされてたんだろう。医学の最先端の名医がわけの解らぬ現象を見て、原始的な治療法を試みる可笑しさ。科学万能の思想の裏に、拭えぬ不安をかかえた現代人の魂やいずこ?(^◇^;)