人騒がせな一日

  • 17: An Unquiet Day

一夜明けて、前日出勤してなかったヴァリエテの会計係のワシリー・ステパーノヴィチ・ラーストチキンは仰天した。劇場の外は、スキャンダラスなショーのチケットを求めて長蛇の列。内部は幹部職員三名が失踪。今やスタッフの中で最高責任者になったワシリー・ステパーノヴィチは、対応にてんてこ舞い。警察の捜査にもかかわらず、真相は闇の中。劇場は閉鎖された。
真面目で正直なワシリー・ステパーノヴィチは、興行委員会にことの顛末を報告し、昨夜の売上を財務局に納めに行くことにした。
1)タクシー乗り場では
10ルーブル札がソーダ水のレッテルや蜂にドロンして、釣り銭を持って行かれた運ちゃんがカンカン(どっかのいかさま師が10ルーブル札を使った手品をやらかしたんだ!)
2)興行娯楽委員会
主任の背広が中身なしの状態で、猛烈に仕事に没頭(猫そっくりの顔つきのデブのしわざ)
3)↑の委員会が業務不可能なので、支部に行くと
職員全員が間歇的にコーラスをして、止めることが出来ない(チックズボンのひび割れ眼鏡のげす野郎が集団催眠術をかけたらしい)…三台のトラックに詰め込まれ、ピクニックよろしく合唱しながら、ストラヴィンスキイ教授の待つ病院へ
4)公金を納めに財務局へ
売上金の包みを開けると、ドル、ポンド、ギルダー…etc.がザックザク。外貨所持の疑いで、ワシリー・ステパーノヴィチは逮捕された。

  • ここでヴォランド氏のスタッフを紹介しておこう(^^)

・コロビョフまたはファゴット
元教会の音頭取り。自称通訳。身長2m以上のひょろながで、チェックのちんちくりんなズボン。片方レンズなし、片方ひび割れの眼鏡をかけている。
・ベゲモート
巨大な直立歩行の黒猫。
・アザゼッロ
燃えるような赤毛で、口から牙。肩幅広くて背が低い。暴力担当。
・ゲーラ(ヘッラ;法木訳、ヘルラ;水野訳)
首筋のとてつもない傷痕さえなければ、完璧な赤毛の美女。普段は全裸。