カムリに伝わる四つの物語(5…おまけ?)

タリエシン

「おまけ」というのは、中野節子さん訳の「マビノギオン」にはこの物語は入ってないし、「四つの物語」に五つ目があるのは??かな?と思って…
シャーロット・ゲスト版には「五つの物語」としてこの話を加えてあり、より完全なものになっている。(この部分のみ固有名詞は井辻朱美さんの訳を使っています)
Talyessin (or Tliesin)は6世紀末頃の実在の吟遊詩人で、ドイルド的な魔力を持っていたと伝えられている。彼の予言詩はマーリンの予言の元ネタとも言われてるそうな。

  • タリエシン

・テジト・ヴォエルの奥方カリドウェンは、不器量な末息子の行く末を心配して「霊感と知識の大釜」を煮立てることにした。薬草を集め、盲目のモルダに火を燃やし続けさせ、小人のグウィオン・バハに一年と一日絶えずかきまわすようにに命じた。一年後釜の熱い滴が三滴グウィオンの指にかかり、彼はおもわずその指を口に。その瞬間この世のすべての知識を得て、その場を逃走。残った大釜は毒に変わり爆発して苦労は水の泡。
・カリドウェンに追われて、野ウサギ、魚、鳥になって逃げ、最後に麦粒に変身。カリドウェンは雌鶏になってその麦粒を呑み込む。9ヶ月後世にも美しい男の子が生まれ、カリドウェンは革袋に包んで海に投げ込む。
・グウィドノの息子エルフィンが赤ん坊を拾い、タリエシン(まぶしく輝く額←光源氏AgentSmithだったりして^^;)と名付けた。
エルフィンは不吉な運命を背負って常に不運であったけれども、タリエシンを大切に育てる。少年は慰めと讃歌を歌って聞かせ、エルフィンがやがて誉れを得ることを予言(長靴をはいたネコみたいね♪)
・あとは、なんでも一番じゃないと気がすまない叔父メルガンに捕らえられたエルフィンを救い出し、奥方の名誉を守ったタリエシンの活躍(メルガンの俗物根性の行き着くところは暗澹たるものが…)全てがまるくおさまって、この世の始まりと未来の予言を歌う。