カムリに伝わる四つの物語1

明るくしたけど…

  • マクセン・ウレディクの夢

カムリってウェールズのことね。ルヴァイン(ローマ)の皇帝マクセンが夢に見た美女を捜して、金波銀波を乗り越えてブリトンに上陸。夢の情景を追っていくと、かの乙女を発見。美しいエレンを娶り、七年間ウェールズに留まった。
・一方ローマでは、皇帝が異国から七年間帰還せねば、新皇帝を立てる決まりになっていた(国政をないがしろにしたらイカンちゅうこっちゃね^^;)。知らせを受けたマクセンはローマを包囲。エレンの二人の兄ケナンとガデオンも合流した。
・兄弟がローマの慣習を逆手にとって新皇帝を斃し、マクセンは皇帝の座を奪回。
・…と、簡単に書いてしまえばそれで終わりなんだけど、皇帝が譲ってくれた軍隊を率いて各地を征服しながら渡り歩く兄弟。ガデオンは故郷に帰り。ケナンはブリタエン(ブルターニュ)に留まることに。
・ケナンは男たちは殺し、女たちの舌を切り取ったのでこの地はスァダウと呼ばれるようになった。スァダウ(Llydaw)はブルターニュ地方を意味する言葉の起源で、セッド(lled:半分)とタウ(taw:沈黙)が結びついた言葉…つまり、舌を切り取られた女たちは沈黙し、残りの征服した男たちのみが話すと言う意味。これにより、元々のその地の言語が消滅してしまった。
・実際に4世紀頃ローマにマグヌス・マキシマスという皇帝がいて、ブリテン島の司令官から皇帝となり、帰郷する際にプリトン人の長エウダヴの娘と結婚して、彼女の兄弟たちが大陸に向かい、マキシマスのために戦った可能性もあるそうな。史実を脚色して口承伝説に昇華したお話。