マビノーギの四つの物語1

リアンノン

マビノーギというのは「息子」とか「少年」の意。一人の英雄の「幼な物語」。プイスの息子プレデリの、誕生のいきさつから悲劇的な死の物語。
マビノーギはマブの複数形で「若者(マブ)の物語」を集めたものという意味。ゲスト夫人の文法の誤解から複数形を意味する"on"をつけてマビノギオンとなったが、既に広く世に知られているところから「マビノギオン」の題名にしたそうだ。

  • ダヴェドの大公プイス

・ダヴェドの七つの地方を治めるプイスが、アンヌウヴンの王アラウンとの狩りの獲物を巡るいざこざと和解。中世の騎士道の原点となる礼節や真義重んずる二人の王の冒険が語られる。
・プイスが美姫リアンノンを得るため、ヘヴェスの館へ赴く。歓迎の席で言葉巧みに約束させられ、リアンノンをグワウルに譲らねばならなくなる。リアンノンは不思議な袋と奸計でグワウルを懲らしめ、めでたくプイスと結婚。二人の間にプレデリが誕生するが、盗まれてしまう。罰を恐れた侍女たちは、リアンノンが生まれた子供を殺したと偽証。彼女は七年の間、アルベルス館の門の脇にある乗馬台のそばに座って罪を公言し、希望する者を背負って運ぶことになった。
・子供はグウィント・イス・コイトの領主テイルノンに救われ、彼の子として大事に育てられる。風の噂でリアンノンの不運と苦行を知ったテイルノンは、少年になった養い子がプイスに生き写しなのを見てプイスの子に違いないと確信。
・真義篤きテイルノンは少年をアルベルスに連れて行き、プイスにいきさつを話し返還。プイスとリアンノンは多いに感謝を表し、少年をプレデリ(心配)と名付ける。
・長じてプレデリはプイスの跡を継ぎ、領地を見事に治め、民からも臣からも愛された。