アイスランド人のサガ6

  • <西地区>エイルの人々のサガ

このサガは、バラバラな挿話が並べてあるだけで印象が弱いが、年代や地理上の記述は正確で異教時代の習俗、神殿の様子、供養や魔法、法律、お化け、幽霊などを生き生きと描写してあり、民俗学の好資料となっているそうだ。「アイスランドサガ」にも先の五大サガとこのサガを加えて、六つの章を構成しているので、歴史的には興味深いサガなのであろう。
…んで、幽霊話をピックアップしてご紹介(と書いてある^^;)
・びっこのソーロールヴは年を取るごとに意地悪くなり、争いを好み、盗みをはたらき、焼き討ちや殺人もする無法者。息子のアルンケルとも疎遠になる。首長のスノリが木を伐採したのが気にくわないが、アルンケルは取り合わない。ソーロールヴは不機嫌になり食事も取らす、翌朝椅子に座ったまま死んでしまった。アルンケルは知らせを受け、谷に運び穴を掘って埋葬。
・ソーロールヴの墓に行った家畜は発狂し、牡牛は呪われ、家畜と羊飼いは行方不明になり、死体が後に発見される。鳥は墓の上に落ちて死に、幽霊が屋根に登って壊す。冬になるとソーローヴが出没し、襲われた主婦は発狂して死ぬ。
・生前一目置いていた息子のアルンケルの行くところには現れないが、人びとに頼まれ墓を掘り起こしてみると、ソーロールヴは腐ってなかった。橇に乗せ牡牛に引かせるとその牡牛も狂う。仕方なく近くの丘に埋葬し、周囲に高い塀を巡らしたら、アルンケルの生きてる間は出て来なかった。
・アルンケルの死後再び幽霊が出没するようになる。ソーロッドが人びとの訴えと聞いて墓を暴いてみると、ソーロールヴは腐っておらず、ヘル(死の女神)のように青白く牡牛のように太っていた。やっとの事で持ち上げて薪の上で焼き、灰を海にまいた。風に散った灰が石について、それを舐めた牝牛が奇形の仔牛を二頭生む。
・ソーロッドの盲目の乳母は未来を読め、その牛を殺すように言う。彼は牡牛一頭は殺さずにおいた。この牛は大きくなりその吠え声を聞いて、乳母は災いが起こるだろうと予言。
・牛は暴れ回り乾草を荒らしたので、ソーロッドは牛を殺そうとして、その角に突かれて死ぬ。牛は皆に追われて、沼に沈んで死ぬ。