マクベス(レヴァイン盤)

シェークスピア四大悲劇の中で、一番好きな物語。魔女の予言に翻弄されて破滅する権力志向だけれど、ほんとうは小心者のマクベスさん。
NHK Bsの録画。これ↓と同じもの(多分)

メトロポリタン・オペラDVD《マクベス》

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  • キャスト

マクベス (ダンカン王に仕える将軍):ジェリコ・ルチッチ
マクベス夫人:マリア・グレギーナ
バンクォー (ダンカン王に仕える武将): ジョン・リライア
マクダフ (スコットランドの貴族) : ディミトリ・ピタス
マルコム(ダンカン王の息子):ラッセル・トマス
作曲:ジョゼッペ・ヴェルディ
指揮:ジェームズ・レヴァイン
美術:マーク・トンプソン
演出:エードリアン・ノーブル
[ 収録: 2008年 1月, メトロポリタン歌劇場 (ニューヨーク) ]

  • あらすじ

・第一幕
マクベスとバンクォーは戦勝の帰路、魔女たちに出会う。マクベスはコーダの領主を経てスコットランドの王になり、バンクォーは王の父となると予言される。
予言が当たってコーダの領主となったマクベス夫妻、野心の虜となってダンカン王を殺し、王位につく。
・第二幕
こんどは「王の父となる」バンクォーを恐れ一家暗殺を謀るが、息子を取り逃がす。
王位継承の祝宴にて、血塗られたバンクォーの亡霊を見て取り乱すマクベス。悪事の匂いを察知する客たち。
・第三幕
再び魔女の予言を聞きに来るマクベス。「マクダフに気を付けよ。女から生まれ落ちた者はマクベスを殺せない。バーナムの森が動かぬ限り無敵である」との予言と、八人の王とバンクォーの亡霊を見て、マクダフとバンクォーの息子を抹殺する決意をする。
・第四幕
バーナムの森。マクベスの圧政に疲弊した民衆と、妻子の訃報を知るマクダフ。イングランドの援軍を率いたマルコムが武装蜂起を呼び掛ける。「森の木のカムフラージュで進軍しよう!」
城では、マクベス夫人狂気の夢遊病。「何度洗っても手に付いた血がおちないわ!」
夫人の狂死と、バーナムの森が攻めてくるのを聞いたマクベス。戦場でマクダフと一騎打ち。
「女から生まれおちたものは、わたしを倒すことは出来ない!」
「わたしは母親の腹を割って(帝王切開で)生まれたのだ!」
…魔女の奸計の成就を知ったマクベスは、戦意を失って斃される。

1041年、スコットランドのダンカン王を殺して王位についたのは事実。その後57年まで善政をしいたのだけれど、王位を奪う可能性のある者を次々と抹殺したそうな。17年間も王として君臨するのは、当時としては長いんだって。

三人の魔女が、魔女軍団になってるのには驚き(O_O)衣装が現代的なので、そのへんのおばちゃん集団みたいだった。気味の悪いメークとダサイ服装が魔女っぽいけど(笑)
夫人にそそのかされてのダンカン王殺害は同じだけれど、オペラのマクベス夫人の凄まじさは一見もの。すべての暗殺に荷担してるもんね。原作のマクベスさんは、もう少し自主性があったような。。。有名な夫人の狂気の場は迫力満点。


これ、イタリアオペラというより、ドイツ的な雰囲気。愛も恋もなしで、テノール二人(マクダフとマルコム)は脇役。魔女の予言で一喜一憂する人間の弱さがテーマかも。
ヴェルディシェークスピアをいたってお気に入りだったそうで、このほかに「オセロ(オテロ)」「ウィンザーの陽気な女房たち(ファルスタッフ)」をオペラ仕立てにしている。

「指輪」のエントたちの行進や、エオウィンがナズグルを斃したのは、トールキン的「バーナムの森と女から生まれおちた云々」。ほかにエルフを卑小なものにしたシェークスピアを批判する文を書いている。
思うに「森が動く」とき、森の木を伐採して進軍のカムフラージュにするのが気に入らなかったのかも(^◇^;)帝王切開が「女から生まれた」んじゃないってのも無理があるし。確か原作は、死んだ母親の腹を割いて取り出されたと書いてあった…と思う。そだ!「女の股から生まれた者」ってあったぞ!!。。。やはり、もう一度原作を読むべきかにゃ?